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コラム上司が「酒の席では無礼講」と言っても、「何でもアリ」で許されるかと言えば… ~宴席における上司と部下のコミュニケーション[前編]

これが上司と部下の生きる道(31)
中尾ゆうすけ(日本メンタルヘルス協会 公認心理カウンセラー)

年末・年始の「忘・新年会集中期間」も一段落しつつある時期ですが、こういった宴席でのちょっとした一言が、後で人間関係に重大な軋轢(あつれき)を生む原因となってしまう――のはよくあることです。特に、上司-部下の関係においては、さまざまな点に注意を払う必要があります。
「最近の若手は全然飲み会に来ない」と腹を立てる前に、部下が来ない原因は、実は自分の言動にあったのではないか――と振り返ってみてはいかがでしょうか。(編集部)

すでに1月も下旬だが、年末から年始にかけて忘年会、新年会と肝臓の休まる暇がなかったビジネスパーソンは多いのではないだろうか? 特に営業職など多くの取引先を持ち、人脈の広いビジネスパーソンや、多くの部下をもつ上司ほど大変である。
しかしビジネスパーソンは、職場から離れ、業務中ではない場合であっても、“企業の看板を背負っている”ということを忘れてはならない。企業人としての立場や取引先との関係、上司と部下の関係……こういったものを思い返せば、「無礼講」が成立するのは現実的に難しく、何でも許されるわけではない。

今回は、社外、特に宴席における上司と部下の関係について考えてみたい。

宴席での上司と部下の関係

1月は、新年会や、賀詞交換など、会社の外での活動も多くなる時期だ。さらに、3月になれば4月の人事異動にともなう送別会があり、4月になれば今度は歓迎会が催されるなど、これからますますその機会は増えてくる。

上司と部下は、たとえ職場を離れてもその関係が途絶えるわけではない。

昔から、「酒の席では無礼講」と上司の方から積極的に言われるものだが、ほとんどの場合、この言葉は形式的な乾杯のあいさつのようなものである。

「上司と部下という関係を忘れて、この場を楽しくしよう」とういうのが趣旨ではあるが、上司と部下の関係は忘れてはならない。

特に部下は、上司に対し「何でもアリ」ではあり得ないし、上司も当然「何でもアリ」ではない。上司と部下の関係は“人間対人間”であり、人間である以上は、必ず感情がある。そしてその感情は、その場限りで消えてしまうことはなく、その後にも必ず影響する。

例えば、営業先での商談における、ちょっとした部下の失敗(言い間違えや忘れ物など)をネタにしたせいで、部下はその上司と商談で同席することを避けるようになるかもしれない。

このような上司が何気なく発した言葉は、その場は笑いを巻き起こしただけで終わったように見えても、後々人間関係をこじらせる原因になったりするから要注意だ。

飲まぬなら、飲ませてやろう……は通じない

昔はお酒が飲めない部下でも、上司が勧めれば飲まないわけにはいかない空気があったが、近年はそれも通じなくなってきた。

「ムリヤリ飲まされた」とパワハラやセクハラで訴えてくる部下もいる時代なので、部下が「お酒は飲めないので……」と言ったら、素直に引き下がる方が無難なのである。「飲まぬなら、飲ませてやろう……」という織田信長的な考え方ではなく、「飲まぬなら、飲むまで待とう……」の徳川家康の精神が必要なのだ。

年配の上司からすれば「つまらない世の中になったなぁ」と思うところはあるが、時代の変化に自身も変化をしなければならないのは、仕事の場でも仕事以外の場でも同じである。

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