コラムBOOK REVIEW(68)ドラッカー、渋沢栄一、野村元監督、共通点は…?
『これならわかる! 『論語』』
齋藤孝 (監修)学研パブリッシング
B5判・143ページ 880円(税込)
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これならわかる! 『論語』 孔子と弟子たちの言行を記録した『論語』には、「人間として、より良く生きるための知恵」が書かれている。その論語の中から、特にビジネスマンにとって役に立つ内容をピックアップ。それらを、マンガや図解、白文+書き下し文、ビジネスシーンに沿った解説で紹介する。 |
■あ、これは『論語』で言っていたあの場面だ
本書の監修は、明治大学文学部教授の齋藤孝先生。テレビでもおなじみの優しい語り口で、論語が現代の私たちの日常にどうマッチするかが、図や簡潔な文章、そして時々マンガにまとめられた一冊です。
現代はとても変動が激しく、しかも不況ですが、孔子の生きた時代もまた、大不況。『論語』には、そんな不況の中で“無職の集団”が理想を語り合っているという側面もあるそうです。それゆえ、現代人にも共感できる部分が多く、最近注目されてきました。
あのドラッカーや渋沢栄一、野村元監督といった功績者たちも、論語に学んでいたそうです。国を超えて広がる、時が経っても愛されていることからも、この古典の力がうかがい知れます。
“共感”という点でいくと、本書では、見開きページの右に、論語の一節と現代語訳、左に図解や現代ではどういった場面での教訓になるかがまとめられているのですが、これがまさに“あるある”“そうだよね”のオンパレード。さらっと読むと分かったつもりになりがちですが、図解やマンガで現代における具体例を示されると、頭と心に残るものです。特に、ビジネスに生かせる基本的な思考を簡潔に頭に入れることができます。本書を読んだ後の日常生活では、“あ、これは『論語』で言っていたあの場面だ”と思うことが増えること、間違いありません。
たった数十文字で本質を突く、これも論語の魅力ですが、それを最大に生かした構成になっているのが本書の特徴です。『論語』なんて難しくて読んでも意味が分からない、読んだこともあるけれど、ビジネスに生かす視点をもっと深めたい!という人におすすめです。
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■自分の評価を気にする前に…
それでは、本書に取り上げられている『論語』の言葉を、二つほどご紹介いたします。まずは、孔子の言葉です。
子曰わく、
人の己を知らざることを患えず、
人を知らざることを患う。
(訳)先生が言われた。「自分をわかってもらえないと嘆くより、人を理解していないことを気にかけなさい。」
会社で、あなたは「自分への評価が低い」という不満を持ったことはありませんか?もっと具体的に、「上司が自分のことを理解してくれない」と愚痴をこぼしたことはないでしょうか。評価されていないことは心に負担があるものの、自分への評価は相手によって変わる不安定なもの。孔子は、これ以外にも「他人の評価を気にするな」とたびたび語っており、重要なメッセージであるとのこと。
それでは、「自分を分かってもらえない」と感じたらどうすれば良いのでしょうか。
孔子は、「人を知らざることを患う」としています。つまり、自分に対する評価のことはいったん忘れて、自分が人(相手)のことを理解しているか考えてみると良い、としています。相手の立場に立つと、相手が自分にして欲しいこと、評価が低い理由も分かるはず、との意味が含まれています。
今までわだかまりを抱えていた人にとって、今日から使える思考切り換えのポイントといえるでしょう。

それでは、もう一つご紹介します。孔子の高弟の子夏の言葉です。
子夏曰わく、
小人の過つや、必ず文(かざ)る
(訳)子夏が言った。「小人が過ちをすると、必ず取り繕ってごまかそうとする。」
小人とは、『論語』の中で「君子」とは対をなす言葉として使われています。
何かミスをしたとき、どうにかその場を取り繕ってごまかそうとしたくなるのが人の正直な気持ちなのではないでしょうか。しかし、いったん小細工が成功してしまうと、常に取り繕ってしまう“小人”となってしまうということをいさめているのがこの言葉。
成長するためには、ミスは認める姿勢が必要ということが伝わります。
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■平易な言葉だが…
一見、『論語』の言葉はとても当たり前で、平板にすら思える時もあるでしょう。しかし、監修の齋藤先生いわく、“平凡にも思える言葉だからこそ、日常のさまざまな場面において、とても的を射た実用的な言葉になる”とのことなのです。
2500年前の言葉、今に生きる言葉、ぜひあなたの生活に生かしてみてはいかがででしょうか?
◆目次
特別インタビュー(1)齋藤孝
特別インタビュー(2)渡邉美樹
序章:論語って何?
第1章:どう生きるかを見つめ直そう!
第2章:日々、学ぶ姿勢を忘れずに!
第3章:周りの人といかにつき合うか?
第4章:現代のビジネスにも通ずる極意
◆監修者:齋藤孝氏
代表作は『声に出して読みたい日本語』。論語関係では、『論語 現代語訳』『小学生のための論語』『声に出して読みたい論語』『図解 論語』『論語力』『「論語」を生かす私の方法』などを執筆。
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