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コラム第28回 企業業績を調べる(3) ~経済産業省「企業活動基本調査」~:使える! 統計講座

使える! 統計講座(28)
深瀬勝範 ふかせかつのり(社会保険労務士)

「当社の労働分配率が高いのはなぜか」「本社部門の人員数は適正か」。これらについても、統計データを使って分析することができます。今回は、労働分配率や部門ごとの従業員比率(直間比率)の分析に用いる、経済産業省の「企業活動基本調査」を紹介します。

1.企業活動基本調査とは

「企業活動基本調査」とは、企業の活動の実態を明らかにし、企業に関する施策の基礎資料を得ることを目的に、経済産業省が毎年実施している調査です。売上高、費用などの損益に関わるデータをはじめ取引状況や研究開発などの企業活動に関するさまざまなデータが公表されており、自社の経営分析を行うとき、あるいは業界動向を把握するときの資料として活用することができます。

毎年3月31日時点の状況について調査が行われ、その集計結果は、翌年1月から2月にかけて「速報」が、8月下旬に「確報」が、インターネット等でそれぞれ公表されます。

【図表1】企業活動基本調査の調査事項(2011年)

2.労働分配率を「分解」して分析する

前々回のコラム(「第26回 企業業績を調べる(1) ~主な経営指標・労働分配率~」)で取り上げた「労働分配率」もこの調査において表示されています。

「労働分配率」:国や企業が新たに生み出した価値(付加価値)のうち、どれだけ労働力に配分したかを示す指標

さらに、労働分配率の算出根拠である「付加価値額」や「給与総額」も表示されているので、自社の労働分配率が業界水準よりも高い場合、その要因を分析することができます。ここでは、分析の進め方を見ていきましょう。

(1)自社の労働分配率を算出し、業界データと比較する

まず、自社の労働分配率を、企業活動基本調査の定義に従って算出します。この調査では、労働分配率を「給与総額÷付加価値額×100」で算出しています。

・「給与総額」とは、常時従業者に支払った給与や賞与を指します。

・分母となる「付加価値額」は、「営業利益+減価償却費+給与総額+福利厚生費+動産・不動産賃貸料+租税公課」で算出します。

自社の労働分配率を算出したら、企業活動基本調査の業界データと比較します。

(2)労働分配率を分解して、その高低の要因を探る

自社の労働分配率が高い場合、その要因は「給与総額が多いこと」か、または「付加価値額が少ないこと」に求められます。そこで、「給与総額」と「付加価値額」を業界データと比較します。

これらは当然ながら、従業者数によって異なりますから、「従業者1人当たり」の数字を使います。企業活動基本調査では「1企業当たりの常時従業者数」が掲載されていますから、「給与総額」や「付加価値額」をそれで割って「従業者1人当たりの給与総額」と「従業者1人当たりの付加価値額(=労働生産性)」を算出し、それを自社の数値と比較します。

(3)給与総額、付加価値を分解して、さらに要因を分析する([図表2]参照)

「従業者1人当たりの給与総額が高い」のであれば、「給与水準が高い」あるいは「正社員が多い」などの要因が考えられます。

そこで厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を使って自社の給与水準を分析したり、「常時従業者数の内訳(正社員、パート別の人数)」を自社と比較するなどして、給与総額が高い要因を調べます。

「従業者1人当たりの付加価値額が低い」のであれば、「売上高が低い」「人件費以外の費用が高い」「従業者が多い」などの要因が考えられます。そこで企業活動基本調査の売上高、売上原価、営業費用、従業者数のデータを自社のそれらと比較して、その要因を探ります。

このように、企業活動基本調査を活用すれば、労働分配率の高低だけではなく、それが生じている要因も分析することができるのです。

【図表2】労働分配率の分解

3.本社機能部門の従業者数比率のデータも入手できる

企業活動基本調査には、損益状況以外にも、企業活動に関するさまざまなデータが掲載されています。例えば、「確報」では「産業別、企業数、事業組織別従業者数」が集計されており、これを見ると「研究開発部門や製造部門などの、部門ごとの従業者数の割合」が分かります。これは、自社の間接部門における従業者数の適正性を検証するときの目安として使うことができます([図表3]参照)。

この他にも、「研究開発の取り組み状況」や「業務の外部委託の状況」などのデータも公表されています。自社の事業運営を考える上で参考になる資料が豊富に掲載されている調査ですから、一度、インターネットで閲覧してみることをお薦めします。

【図表3】事業組織別従業者数の割合(製造業)

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